エコミ―ティング(自然環境配慮)
「造成現場でちょっと貴重な植物の保全を行いました!」
今回は植物を保全した様子を紹介します。
昨年2024年12月。
とある造成現場で植生調査をしていると、
現場内の干上がった水路にちょっと貴重な植物を発見!!

正体は“コイヌガラシ”という湿生植物でした!
周りを見渡すと、この植物があちこちに生えていました。

愛知県内では、尾張西部中心にまだまだ生育していますが、
全国的には準絶滅危惧種に指定されている 少し貴重な植物なんです。
油断すると、愛知県でも絶滅危惧種になりかねないため、
急遽、保全することにしました!

〈保全①〉
はじめにやったことは、生育エリアの明示!
現場の職員全員が、コイヌガラシが生えていることが分かるようにロープでぐるっと囲いました。

これで間違って草刈りをするや踏まれることはなくなります。
〈保全②〉
ちょうど、種子をつけている株が多く見られたので、
次に種子採取を行いました!

コイヌガラシはアブラナ科の植物で、
さやの中に小さな種子をたくさん蓄えています。
この種子があまりにも小さい!!
測ってみると0.3mm程度しかありません。う~ん、小さすぎてつまめない!!
なので、乾燥したさやごと採取し、あとで種子だけ取り出すことにしました。

同じ場所にはコイヌガラシとよく似たスカシタゴボウも生えているため、
見分けながら採取するのが結構大変でした・・・💦


~見分け方を簡単に紹介~


なんとかこれだけ採取することができました~!

落ち帰り、乾燥させて、種子だけに仕分けました。
いったい何粒あるのでしょうか??多すぎて数える気にはなりません・・・。


〈保全③〉
最後は、表土の活用です。
表土にはコイヌガラシの種子がたくさん入っています。
埋土種子と言ったりしますね。
この表土だけは特別扱い!
一か所にまとめて仮置きし、工事が完了後に造成エリアの水が集まりそうな場所に使用する予定です。


造成地に新たなコイヌガラシ群落が出来上がるといいですね。
また、元気の良い株と表土の一部は、カトケンビオトープにも移設することにしました。


トロ箱1杯分を水辺エリアへ。
移設後の状況 こんな感じ↓

カトケンビオトープでも元気に育ってくれると嬉しいです♪
これにてコイヌガラシの保全対策は終了です。
今できる最善策を講じることはできたと思います!
ミチゲーションの考え方でいくと、最善は生息地を回避して工事すること。
同様の案件があった際には、生き物への影響をゼロの状態で工事ができるように努めていきたいです。

作成者:伴 拓哉